一九七〇年、初めて額縁舞台をとび出して”ステーション’70”でのリサイタル。父の死後、最初の公演でもあった。後年、詩誌『詩と思想』にその時の思いを書いている。
ーそのフィナーレ、地鳴りのようなオルガンの響く中で、ビニールシートに包まれた私に、男性舞踊手たちがロープをかけていく。一本一本のロープが、生きていく厳しさや悲しさ、社会の拘束となって私の心に身体にビシッビシッと鋭く食い込んできた。ビニールの中で必死に抵抗し、小さなすき間から指を出そうとあがいた。ついに右手を空間の高みへ向かって突き上げたその瞬間、私の感動と観客の心とが通じ合ったと感じた。人は皆、たくさんの人生の重荷を背負って、つまずいたり傷ついたりして生きているのだ。・・・・・・